中国い業産地視察団視察報告

『目的』

 平成6年以降、八代産い草・畳表の価格が低迷したが、その原因は中国からの大量輸入によるものであった。このため熊本県い業生産振興協会、JA、行政が中心となり、国に働きかけ、日中の輸入量について協議を進めてきたが、中国からの輸入量は減らず、国内産の畳価格は低迷してきた。このことにより、い草農家の減少と作付け面積は衰退の一途であった。このため国内対策としては、い草価格の補填制度も実施し、18年産の価格は最低となり、価格補填が大幅にされたところである。
しかし、中国でも急激な工業化の進展に伴い、い草産地が野菜産地にまた、農地が住宅地に転用されて、寧波を中心とした産地が衰退し、畳の輸出量が減っている情報があった。そのためか、19年産の畳表価格は急騰し近年にない価格で推移している。
  一方では、寧波市の産地が中国の奥地四川省に移っているという実態もあり、今後産地が四川に移ることで、また日本に大打撃を与えるようなことになるのではないかという危機感のもと、熊本県議会い業議員連盟として中国の産地の実態をきちんと把握する必要があった。そのため、今回寧波市、四川省成都市の現地視察と中国畳表生産工場担当の現地視察を実施するものである。

1寧波市い業経済連合会総会との合同会議

 寧波市の畳表等い製品の生産団体との合同会議において、日中双方のい製品のい製品状況等について意見交換を行った。
・会議では平成19年度畳表の需給予測等についての情報交換を行い、国内の需要量1900万枚に対して、日本産の供給量約600万枚、中国産の供給量1300万枚とな っており、需給バランスがとれる見込みであることが確認された。
・中国側からは織機1台あたりの作付け面積を制限する生産調整等を実施するなど、需給バランスを取るための新たな取り組みが紹介された。
・また、日本への輸出の一部を国内向けに当てて、シェアーの確保に努力していることも報告があった。
・また、工業化の進展により、労働力確保も難しくなっていること、農家が野菜栽培に切り替えており、圃場の確保も困難という厳しい現実も報告があった。
・会議には寧波市の副区長(熊本県で言えば副知事に該当)も参加し、レベルの高い交渉協議が行われた。

2寧波市いぐさ圃場視察

・寧波市の古くからのい草産地キンシュウ区の古林領および高橋領のい草圃場を2カ所見学。
・両地とも都市開発が急速に進み、農地が減少していることが伺われた。
・い草は植え付けられたばかりであった。一株の茎数等生育は熊本とあまり変わらなかった。植え付け状態は苗が倒れるなど乱雑であった。

 

3 寧波市い草工場視察

・寧波市キンシュウ区にある畳表等い製品工場2カ所を見学
・日本の問屋「トクラ」が経営している畳表を主に生産している工場では、普及品の綿経糸製品を中心に生産。
以前は、人件費が安かったが現在は月日本円で2万円ぐらいの月給を支払っている。4から5年前は6000円/月と聞いていたので、相当のアップである。国の指導で社会保険等の加入が義務づけされたとことや工業化に伴い賃金アップが進んでいるらしい。
・もう一カ所は花ござを中心に生産している会社であり、日本と同様にいろいろ工夫(織 り方、刺繍、機能等)が施されていた。しかし、日本での需要減の中で日本向け輸出を国内向けに切り替えているとのことであった。

4 四川省いぐさ工場視察

・四川省眉山市にある「大幸物産」(本店大分県)の高品質畳表工場を視察。
工場では、織機100台余りで、年間70万枚を生産している。
普及品から高級品まで生産されているが、高級品については検査が厳しく出荷予定製品は、日本の高級品と遜色ないものであった。
  工場関係者によると、四川省の気候は栽培に必ず適していないが、栽培指導で早刈りをさけて、日本と同じ7月に刈り取ることを徹底させることにより、いい草を取るようにした。(約7年かかったとのこと) また、寧波の産地では工場指導で農民に作らせているが、そのため農家はい草栽培に熱が入らず、いい草が栽培されていないが、四川では農家が組織化し、責任持って栽培するため、いい原草が生産されるとのことであった。

5 四川省い草圃場視察

・四川省のい草植え付けは、寧波市より1ヶ月遅い12月中旬であり、7月刈りに合わせた管理が行われていた。植え付け状態は寧波よりも良好であり、管理も丁寧であることが伺えた。また、温暖なためか、熊本では今の季節は枯れた状態であるが、四川のそれは青々としていた。

 

 

6 イトーヨーカ堂農産物視察およびござ関係視察

・四川省成都市内の「イトーヨーカ堂」において、農産物およびゴザ類の販売状況を見学。・ゴザ類は夏物であり、冬の現在では取り扱われていなかった。しかし寝具類のコーナーではい製品(枕類、カバー類)が販売されていた。
 農産物は、日本の製品もおかれていた。青森県の世界一りんごは1200円/個が販売されていたが、よく売れているとのことであった。不知火(熊本の商標「でこぽん」)も販売されており、産地は中国とのことであった。米も今摺米方式で販売もされていた。また、焼酎、菓子類も日本製品が販売されていたがいずれも日本価格より3割程度高いというイメージがあった。